人事ハンドブックについて語ろう〜ココネはなぜ人事制度を公開しているのか?〜
ココネでは人事制度や、その元となる考え方を隠すこと無くすべて公開しています。
なぜ私たちはそうしているのか?公開に至る過程や想いを、関係したメンバーが語りました。
紹介
石渡(写真:中)
取締役弁護士
ココネの法務周りだけでなく、幅広くココネの目指すビジョンの実現のためにオフィスの運営などにも携わる。
北村(写真:左)
人事総務部門担当 執行役員
人事のプロフェッショナルとして、人事制度設計・労務・採用・総務に加えて、デリ(社員食堂)やウェルネス(健康管理)まで、ココネの理念に基づく全般に関わる。
渡邉(写真:右)
コーポレート担当デザイナー兼広報

石渡:
人事部長の北村さんから、採用の際や、交流会の際などに、うちのハンドブックを結構読んでもらえているというお話があって。今回は、ちょっとハンドブックを作ったことを振り返ったりしながら、ハンドブックへの私たちの思いみたいなものをお話しできたらと思っています。
北村:
よく読んでもらえてる実感が最近あります。人事ハンドブックで検索すると上位に出てきたりとか。良く聞かれるのが「こんなに開示して、真似されたりしないですか?」というようなご質問です。
ぜひそのあたりの私たちの考えが伝わればよいなと思います。
渡邉:
やっぱりうちは世に言う福利厚生が充実しているということはすごく言われていますよね。
北村:
断片的に見たらジム、デリが目立ちますね。ただ、それだけがポンとあるのではなくて、話題になりやすいジムや、デリが生まれたのには、根っこに強い思いがあって、そこから結果として出てきているだけで、すごく当然のこととして位置付けているものなんですよね。
渡邉:
だから、色々会社が大きくなって余力ができてから、プラスアルファで整備するような意味合いの「福利厚生」という言い方をするのには、違和感を持っているんですよね。
採用にもかかわるときは、デリやジムの充実度については伝えるんですが、おおげさにいわずに、「うちの福利厚生というのは、デザイナーがペンタブとか、そもそも机やパソコンを最初に支給されるのと同じくらい、働くうえで、まず用意すべき、必須のものなんです」と説明してきました。
石渡:
ジムとデリを社内に作ったのは、2015年で、まだほんとに従業員が100人超えたくらいから、社内のデリとジム作って、専用のトレーナー(ココネでは健康士と呼んでいます)を雇ってしまっていましたからね。
当初、社内でも「まだ早い」とか「その規模じゃない」などと反対も強かったですが、創業役員が「一日8時間過ごしてもらう場所というのは、一日で考えても、人生で考えてもかなり長い。そこまで長くいてもらうなら、せめて会社にいるだけで健康になれる環境は提供すべきじゃないか。私たちの会社は社員の幸せからスタートすべきだ。」と周囲を説得しましたよね。
北村:
そうですね、そういう会社として「どうありたいか」という思いを確認し、社員のみんなと共有しやすいメッセージに乗せていく中で、この人事ハンドブックも生まれていますね。

石渡:
やっと本題に到達したので、人事ハンドブックの構成からお話してもらえますか?
北村:
はい、世の中の人事ハンドブックで、実務の運用の部分のみがポンと記載されているものが多いと思うのですが、ココネのものは、会社としての価値感とか、目指したい会社像をまず手厚く説明することから入っています。
ここの根っこの部分がとても大事だと思っていて、共通の会社の価値感や、理念を実現するものとして人事体系が設計されているんです。
だから、結果として設計された体系だけを知ってもらうのではなくて、どうしてそうなっているのかを理解してもらうことが、すごく大切だと思っています。
石渡:
最後にも、「生きるヒント」という章がありますよね。
そもそも、働くヒントではなくて生きるヒントという表現にも、私たちの思いがたっぷり入っているんですが。
北村:
うちは社員総会や社内掲示物とかメッセージとかで、いつも「自分たちがどう生きるべきか」という話が繰り返しされているんですよね。
これもやっぱり、人事ハンドブックの根っこになった私たち会社の価値観や理念に通じるものです。
だから、人事ハンドブックの最終章「生きるヒント」は、ハンドブックに初めて記載されたものではなくて、だいたいうちの社員だったら、必ず耳にしている「あれね」という感じの問いかけなんですよね。
渡邉:
読み物として与えられたというより、いつも聞いている話がまとまっている感じはしますよね。
石渡:
このハンドブックができた経緯なんですが、2014年くらいに、私たちが使命として持っておきたいことを「召命」として言葉にしたことあたりから、さかのぼれる気がします。

渡邉:
ちょうど人数が少しずつ多くなってきたころで、フロアを拡張して2つ使い始めたころ(2014年)に、「何も言わなくても、阿吽の呼吸でだいたい通じる」というのが無くなったと感じる瞬間がありました。あの後くらいから、やはり会社が目指したいこととか、共通の意識を「言葉にして」伝える必要が出てきたのかなと思います。
石渡:
確かにそうですね。ただあの頃って、社員の顔や名前はまだまだ全員分かっている時代でしたよね。ワンフロアに、体育座りして集まって、社員総会ができるくらいの。
でも、これからどんどん「ちゃんと言葉で意思疎通を取らないとならない」危機感が生まれていたってことでしょうね。
渡邉:
召命ができて、召命を説明するハンドブックがあとからできて、社内に召命を掲示したりして一生懸命伝えようとしましたよね。

石渡:
のぼりみたいなものもありましたよね!
北村:
やはりうちの人事制度は、この召命あたりも強く影響していますよね。
ココネは、創業以来、創業役員を中心として、会社として目指したいこと、そして会社として社員にどうあってほしいのか、社員に何を提供できるのかをずっと考えてきたと思うんですが、その一つが人事ハンドブックという形になっている。
石渡:
評価ってなんだっけ?というところから始まって。「誰が何をして過ごしたかってだいたい見えているし、把握できているけど、それを確認するのが評価なんだっけ?」というところから考えましたよね。
北村:
そうでした。「何をやったのかの確認会だったら、制度無くてもできますよね。評価制度が会社の成長や社員の成長につながるものでこそ、意味がありますよね」という点から出発しました。
石渡:
実はその前に外部コンサルにお金を払って作ってもらった人事制度があったのですよね。例えば、昇給するための計算式とか詳細についていたんですが、何かやりたいことと違ったんですよね。結局、うちの理念とか価値感とかを前提にしていない「ひな型」みたいな人事制度は、私たちが欲しかったものではなかったんですよね。もう今、どんな内容だったか思い出せませんもん。
北村:
その「輸入」した制度は結局使わずに、いちから自分たちで作りましたね。
まずは、大事にしたのが、やったことは分かっているんだからそれをどうこう言うのは意味がなくて、「結果に対してどんな努力をしたら成果があって、その前にどれだけの失敗をしたのか」みたいなプロセスのところを共有してもらうことに力を尽くしました。
石渡:
せっかくの成功や失敗を個人のもので終わらせずに、みんなで共有して疑似体験して、それを次につなげられたら「チーム」の意味があるんじゃないか?!という考えでしたね。

北村:
あともう一つの柱は、セルフレビューと呼んでいる自己評価ですかね。会社が先に評価を伝えると、違うなと思った社員の側が異議というと強いですが、「私はもっと頑張ったはずですが」というのを言わなければならない。それって結構負担が大きいんじゃないかということで、先に社員の側に自己評価を出してもらって、「違うんじゃないかな」というコミュニケーションの負担を会社側に置いたんですよね。
石渡:
これって、すごく労力がかかることでしたよね。実は社員の側の負担も大きい気がしていて、自分の評価って、言ってもらった方が楽だったりもするかもしれない。でも、自分で自分の成果やプロセスをちゃんと伝えるっていうことをお願いしましたよね。
渡邉:
それを浸透させたくて、一度全社員が自己評価を紙に書くだけでなくて、プレゼンもしましたよね。あれはすごいことだったと今でも思うんですが、仙台とか京都のメンバーも東京に来て。役員とか、開発、デザインみたいな職種ごとのリーダーとかが座って、その前でプレゼンしてもらって。
石渡:
あれは、多分皆さんとてもハードだったと思うのですが、すごく良い時間が沢山ありましたよね。涙あり、笑いあり、、、、やり直しあり、、、人生劇場みたいな感じでした。本当に各自がどう会社で過ごしてきたかが伝わってきて。
北村:
各自の成功や失敗や、そこから得たことを共有するというのが目的でしたら、その場で聞けないメンバーのためにも、全部速記録を付けて、終わったら共有しましたね。
あの時の、感動的な場面は今でも記憶に新しいですよね。

渡邉:
会社の業務が1週間止まりましたよね。よくやったなと思いますが。あの時「プレゼン嫌だな」と思った社員が大多数だったと思うのですが、嫌かどうかに関わらず、役員やリーダーが各自と向き合って、成長を共有しようという気持ちは、会社全体で一つだったように思います。
石渡:
なかなか素晴らしい時間だったので、それ以後、任意で、プロセスを共有したいと思ってくれる人による「任意プレゼン」の形で続けていますよね。
石渡:
ところで、制度自体の話は全然していませんが。
北村:
良いんですよね。そこが大切で。冒頭に話した通り、良く「そんなに開示して内容盗まれちゃったりしませんか」と冗談で言われることがあるんですが、やっぱり、私たちがどういう会社でありたいのか、どういう会社に成長したいのかという理念や価値観があってこその人事制度なので、そこがないと、制度部分だけマネするのってできないと思いますし、意味もないと思うんです。
例えば、制度のところで、組織のマトリックス図とかもありますが、これも組織図を共有するだけではなくて、どうしてこの組織図を作っているのかという「思い」を先に記載しているんですよね。だから、この思いが伝わっていなければ、組織図の解釈もできないわけで、意味があるものとして生きてこないんですよね。
石渡:
実は、内容もどんどん変えていますしね。

北村:
そうです、評価時期が終わるたびに社員アンケートを取ったり、会社として反省したりして、次の評価の運用方法を変えてきていますね。理念や価値観は普遍的で中長期的に維持されますが、それに基づく具体的な制度は、会社の成長度合い、社員の人数、文化の変化などに合わせて、臨機応変に変えていくべきだと思いますから。
石渡:
ちょうど今年はコロナの年で、「オフィスってなんだろう」とか、「リモートワークの働きかたって今までと同じでよいんだっけ」とか、いろんな定義を見直しましたよね。
北村:
そうですね。まさに働き方は大きく変わったのでそれに合わせて評価制度も変更を検討しているところです。だから、断片的に制度だけ見ても意味がなくて、生き物である会社の実態に沿って、まさに運用し続けることが肝心ですよね。
渡邉:
そのベースには、変わらない会社の価値観や理念があってこそ、ですね。
石渡:
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人事ハンドブック掲載HP
https://www.cocone.co.jp/system.html